アトピー性皮膚炎は保湿で予防できる?
生まれた時から赤ちゃんの保湿に気を付けるご家族が増えています。
2016年ごろに、「しっかり保湿をすると赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を減らせた」という研究結果が発表されてからのことだと思います。この研究、えがおの森の院長もお手伝いをしました。
ところが、2020年には「保湿をしても、赤ちゃんのアトピーは減らせなかった」という研究結果が発表されました。
一体、どちらが本当なのでしょう?
実は、「保湿剤でアトピーを減らせた」という研究論文と、「減らせなかった」という研究論文をちゃんと読むと、結構前提が違っていることがわかります。
まず、「保湿でアトピーを減らせた、」いう研究では、両親やきょうだいにアトピーの人がいるハイリスクの(アトピーになりやすい)赤ちゃんを対象にしていました。
一方で、「保湿でアトピーを減らせなかった」という研究では、ハイリスクの赤ちゃんだけではなく、家族にアトピーの人がいないアトピーを発症するリスクの低い赤ちゃんも対象に含まれていました。
また、「アトピーを減らせた」という研究では、質のいい保湿剤を毎日全身にしっかり塗っていました。
一方で、「減らせなかった」という研究では、あまり質のよくない保湿剤を、週の半分くらい適当に塗っていました。
こういう対象となるお子さんや、保湿剤の使い方の違いのせいで、違った結論になった可能性があると思われます。
今の時点では、保湿でアトピーが防げるか、ということについて次のように考えられています。
・すべての赤ちゃんに保湿は必要ないかも。家族にアトピーの人がいる、ハイリスクの赤ちゃんだけでよいかもしれません。
・保湿をするなら、ちゃんとした保湿成分の入った質のいい保湿剤がいいかも。ワセリンのような油性の保護剤は効果がなさそうです。
・保湿するなら、毎日、しっかり全身やりましょう。
保湿でアトピーが減らせるかどうかは、まだ世界で研究が進んでいるところです。
新しいデータが出てきたら、このブログでもお知らせします。
目次